怪しいサプリメントは飲まない
怪しいサプリメントは飲まない
サプリメントの付き合い方 使用者の立場として考える
サプリメントって何だろう?
薬と何が違うんだろう?
副作用はないのか?
私がサプリメントに興味を持ったきっかけは、眼科検査の際に患者さんに意見を求められた事でした。
もう8年ほど前になります。
加齢黄斑変性症と診断された患者様に「今は治療薬が無いと先生に言われたが、何かやれる事はないのか」「サプリメントはどうなの?」「ブルーベリーは眼にいいの?」全く答える事ができませんでした。
その当時、視能訓練士として情報は全くなく、知合いのDr数人に意見を求めましたが、Drによって見解は大きく違いました。
具体的にはこんな意見です。
・基本的には効果的な治療方法はないから様子を見て行くしかないかな、サプリメントは意味無いんじゃないの・・・
・そうだね、患者さんも不安だろうから、効くかどうかは判らないけど、アメリカで勧められているサプリメントを紹介しようかな・・・
・ボシュロムが出しているオキュバイトってサプリがいいらしいから、今は積極的に紹介しているよ
どの先生の見解が正しいのか、もちろん私には判断できませんでした。
でも、眼の前にいる患者さんは不安を訴えている。
なんとかしなきゃ・・・
その当時、地元の大学病院では、ボシュロム オキュバイトの試験使用が始まっていて黄斑変性症の患者さんへの効果調査がされていました。
しかし、まだ患者の使用期間が短く、具体的な結果は出ていない状況。
ボシュロムジャパンにお願いして、アメリカで実施された追跡調査(AREDS 2001年発表)のデータを取り寄せてみると、そこには優位に改善しているとの結果あり。
何だ、できる事はあるじゃないか・・・
先生方の了承を得たうえで、患者さんにサプリメントを紹介していたのですが(商品名 オキュバイト プリザービジョン)、少し経つと新しい商品があるとの事。
変更内容を聞いてみると、「βカロテンが喫煙者に発がん性が認められたので、βカロテンを抜いてルテインを入れました」って事でした。
この時、患者さんに良かれと思って紹介していたサプリメントにもリスクが存在するんだって事に初めて気づかされました。
ここで原点の疑問にぶつかります。
サプリメントって何だろう?
薬と何が違うんだ?
副作用はないのか?
なにも知らず無責任にサプリメントを薦めていた事の怖さを痛感し、独学ながらサプリメントの情報収集を始めました。
怪しいサプリメントは飲まない2
サプリメントってなんだろう?
日本では薬と間違わない為に今のような形(錠剤、カプセル)での販売は最近まで認められていませんでした。
規制緩和により市場に出てきてわずか20年ほど。
サプリメント後進国と言われる由縁はココにあります。
サプリメント先進国と言えばアメリカ。
日本のような公的保険制度がありませんので、病気になる事をできるだけ避けたいという思いがサプリメント市場を大きくしたのでしょう。
また、アメリカではサプリメントに対する規制も多く、内容表示義務、副作用報告などメーカーはすべき事が沢山あり、使用者は必要な情報を得る事が出来ます。
※もちろんアメリカにも低品質は商品もあるみたいですが・・・
では、日本のサプリメント業界はどんな状況でしょう。
サプリメントは食品に分類されます。
食品は一般食品、栄養機能食品、特定保健用食品に分かれます。
特定保健用食品
一定の効果、効能を表示し販売する事を消費者庁に許された健康食品(トクホ)。
効果は限定的ですが、お国のお墨付きが最大の魅力。
皆さんがサプリメントとして使用している物は一般食品、栄養機能食品です。
栄養機能食品(栄養補助食品)
必要な栄養素を食事から取れない場合に、その補給に利用する規格基準が定められているビタミン12種、ミネラル5種を含む食品。
厚生省労働大臣が定める基準(特定の栄養成分の1日摂取目安量が定められた上・下限値の範囲内であることや、注意喚起表示などの記載義務)に従っていれば、栄養機能の表示が可能。
一般食品
上記以外の食品(多くのサプリメントがこの中に入ります)
内容表示の指導はあるが、規制は何もなく、販売者が健康増進を謳えば販売可能。
多くのサプリメントはイメージ戦略が大事なので、使用者と思われる方の元気な姿や個人的な感想を映像で見せたり、医療関係者のお薦めコメントを載せたり・・・
中には良質な商品もあると思いますが、そうでない商品が混在している事を覚えておきましょう。
※平成27年6月、規制緩和により一般食品の中で効果、効能が表示できる商品(機能性表示食品)の発売が開始されました。
但し、トクホと違い内容については国の審査があるわけではないので、公表されたデータを基に消費者個人が判断する必要があります。
怪しいサプリメントは飲まない3
薬とは何がちがうのか?
薬とサプリメントの一番の違いは、人間を対象にした長期、大規模の治験が行われ、効果が客観的に認められているかどうか。
正式な治験には膨大な時間と費用がかかります。
厚生労働省から薬として認可してもらうには避けて通れません。
※海外製品は海外での治験データを基に手続きが行われます
※機能性表示食品では小規模の治験が行われる事もあります
なぜサプリメントは薬品レベルの治験を行わないのか?
サプリメント販売会社の多くの商品は短期ビジネスの可能性が高いからです。
基本的には医療とリンクしていませんので、5年後、10年後を想定して商品開発する事は難しいのではないでしょうか。
健康ブームには流行りすたりがあり、流行りを察知してからじっくり商品開発をしていたら、出来上がった頃にはすたっている可能性が高く、しっかり効き目を調べて見たら効果がなかったって事になれば、開発費は無駄になります。
ちょっと前にテレビで良く見たサプリメントのCMが最近見なくなったって事良くありますよね。
ブームが終わったって事です。
怪しいサプリメントは飲まない4
副作用はないのか?
冒頭に示したβカロテンの発がん性に代表される副作用がサプリメントにもあります。
食品から摂った栄養素は疑う事なく身体に良くても、サプリメントとして摂った場合に効果なく副作用が発生することは少なくないとの事です。
もちろん必要以上に飲んだ場合の過剰摂取による副作用は当然として、指定通りの量を飲んでも可能性があります。
考えられる事は4つ
・輸入サプリメントの中には日本人には過剰となる栄養素量が含まれている商品がある
・サプリメントでは過剰となっていなくても、食事からの摂取と合わさって過剰となる
・目的の栄養素ではなく、サプリメントの添加物にアレルギー、副作用が発生する
・すでに飲んでいる薬との相互作用により副作用が発生する
残念ながら上記理由があったとしても個人では確認のしようがありません。
できる事は身体的な不調が発生したら、サプリメントを中止して比較する事。
体調が戻るようならそのサプリメントは使用を止めましょう
怪しいサプリメントは飲まない5
サプリメント市場の現況
現在も日本ではサプリメントビジネス花ざかりです。
50歳以上の3割が毎日何らかのサプリメントを使用し、時々利用する人も含めると6割に上ると言われています。
サプリメントのテレビCMは毎日のように見ますよね。
それだけ広告に莫大なお金を使っても儲かっているってことです。
サプリメントの原価は皆さんが思っているよりずっと少なく、意図的に減らす事は自由にできるらしいのです。
錠剤、カプセルを見ても何が入っているか判りません。
商品のパッケージを確認するしかないのです。
ところが、表示はされていますが、その通りかどうかは判りません。
そうなんです。
多くのサプリメントは一般食品なので商品の内容確認をする義務がありません。
噂の域を出ませんが、表示の半分も栄養素が入っていないとか、表示通りに栄養素が入っているが、ほとんど体内で溶けないなんて商品もあるとかないとか・・・
また、ドリンク系の商品は味が大切なので、いらない物がいっぱい入っている可能性があります。
美味しい=甘い なんて事は、糖類が沢山入っているんだろうなぁと考えちゃいます。
血糖コントロールを必要とする方はくれぐれも気をつけて下さい。
本当の中身を知らずに毎日飲んでいるとしたら・・・けっこう怖い話です。
怪しいサプリメントは飲まない6
サプリメント 自分ならこう選ぶ
・体調、疾病で不安があるなら、先ずは食生活を見直す。
現代、偏食なく普通にご飯を食べていれば栄養が不足する事は考えられません。
・それでも不安で行動を起こしたいなら、先ずは今通院しているDrに相談する。
もちろんサプリメントに肯定的な先生、否定的な先生はいますが、少なくともお薬を飲んでいる場合は相互作用を確認する必要があります。
・ご希望の栄養素成分で薬品として存在する場合は薬品を選択する。
※前にお話しした通り、薬品なら少なくとも内容量、品質ともに確かである事と保険適応になる場合はコストが安くなります
・市販のサプリメントを利用する場合はエビデンス(根拠)が確かなもの、または効果の可能性が客観的に示されているのもを選ぶ。
実際エビデンスのある商品(成分)の場合、Drも知っている可能性が高いです。
お薬ではありませんが、効果の期待はできるでしょう。
いかがですか。
ご自身の状況を客観的に見てみましょう。
>コーラーゲン、ヒアルロンサン、グルコサミン、コンドロイチン、アミノ酸、DHA、EPA、コエンザイムQ10、ブルーベリー、アスタキサンチン などなど・・・
効くのか効かないのか?
正直、現段階ではわかりません。
効果があると言うレポートもあり、無かったってレポートもあり、理論的には効果があるはずが無かったり、効果が無いはずがあったりで再現性がないのです。
個人的には、これはダメでしょって物もありますし、期待できるんじゃないのって物もあります。
基本的に消化吸収段階で別の組成になってしまう物は難しいと思いますし、血管の無い組織へのアプローチも難しいかもしれません。
また、ダイエット関係のトクホ、サプリメントはあまりお薦めしません。
お茶、コーラ、ビールに始まって、飲むだけで痩せるような表現のサプリメントは星の数ほどあります。
例えば、「脂肪吸収を10%抑える」との効能が本当にあったとしても、何もトクホやサプリに頼らなくても、焼肉10枚食べるところを9枚にすればいいだけの事。
サプリ代はかからず、お肉代もお安くなります(笑)
トクホ、サプリで安心してお肉10枚が12枚になったら本末転倒です。
本当に痩せようと思ったら、摂取カロリーを控えて、代謝を上げる(筋肉を付ける)しかありません。
飲むだけで痩せるサプリがあったとしたら、何かしら身体に悪い事をしているはずです。
今までの生活は変えずにサプリでけで痩せる事は無いと思って下さい。
と言う訳でサプリを利用する場合は情報をしっかり集めてから検討しましょう。
怪しいサプリは飲んじゃダメ!
後は本人次第。
結局、何のアドバイスにもならなくなってしまいましたが、最後にこれだけはお伝えしたいと思います。
サプリメント使用によるパターン
1.効果あり、副作用なし
2.効果なし、副作用なし
3.効果あり、副作用あり
4.効果なし、副作用あり
サプリメント使用を決めたら、1番と2番を目指しましょう。
3番で効果絶大、副作用ちょっとだけ・・・って事があれば別ですが、自分の身体を天秤にかける事はしたくありません。
2番も嫌って思いますが、確かにお金は捨てたようなものですが、大切な身体は守られましたので良しとして下さい。
とにかく4番だけは絶対にならないよう、皆さんもしっかり勉強して下さい。
怪しいサプリメントは飲まない7
サプリメント利用に注意が必要な人(相互作用)
病院で薬をもらって飲んでいる方は必ずDrにサプリメント使用を伝えて下さい。
サプリメントとの飲み合わせで、治療目的で飲んでいる薬の効き目が強くなったり、弱くなったりします。
自己判断で勝手に飲み始めると、病気の治療に支障がでたり、別の病気が発症したり思いもかけない事が起きます。
特に注意が必要な薬は・・・
抗凝固薬
血栓塞栓症など血液の流れを良くする薬
経口血糖降下薬
食後の急速な血糖値上昇を防ぎ、コントロールをする薬
降圧薬
高血圧患者の血圧を低下させる薬
抗うつ薬
うつ、パニック障害、心的外傷後ストレス障害など、気分障害を改善する薬
サプリメントが本来の病気治療の妨げになっては絶対にいけません。
お薬を飲まれている方は必ず確認し、Drに相談して下さい。